この手記は、岩波書店が99年1月に出版した”定年後”という本の原稿 として執筆・応募したが、惜しくも(?)採用されなかったものです。つまり落選作を ここにひっそりと公開しようとするものです。

この手記を書いたのは、定年退職前の98年夏であり、その後定年を迎え、現在はこれを書いてから 約1年が経過しています。この間、唐突に肺がんの手術を受けたこともあって、現在の心境および状況は、 この手記と比べて若干異なります。しかし基本的な考え方に変わりはありません。

また論旨を明確にするため、断定的な表現が多くなりましたが、実際のわたしはかくも単純に 割り切っているわけではありません。

手記  わたしの定年後 (1998年)

はじめに

三十数年におよぶサラリーマン生活も、あと 数ヶ月を残すのみとなった今、私は定年退職のその日を、指折り数えて待って いる。

なぜなら"定年後"こそが、等身大の自分の人生だから。定年までの人生は、 自ら生き、家族を養い、さらに定年後に備えて経済的基盤をつくる、いわば 手段としての人生である。

一日のうち睡眠時間以外の大部分を生きるために使い、 生きることそのものには、文字通り余暇を使うのみであった。これからは違う。 自分の時間を、金を稼ぐために使う必要がない。

経済的に得になることのみを 行ない損になることはしないという、うとましい行動基準を捨て、自分本来の 価値観にもとずいて行動することができる。そういう時期にまもなく到達する のだ。

定年後を考える場合のキーワードとして”金”、”健康”、”生きがい”などが ある。以下それらについて私 の考えを述べたい。


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