語旅行記(01年5月)

9日間のイタリア・パックツアーに妻と参加した。
目的の一つは、NHK語学講座でかじったイタリア語が果たして役に立つかどうか 試してみることであった。

関空からルフトハンザでフランクフルト経由トリノに着き、 ナポリ行きアリタリア航空機に乗り込む。
さっそく乗務員に第一声。
Scusi. Dov'e il bagno?トイレはどこ?(分かっているくせに・・・)
彼、後方を指さしながら、
-なんとかかんとかdestra.(右)
なるほど、奥の右側か。Grazie.ありがとう。
-Prego.どういたしまして。
すべりだしはまずまず。分かっていても聞くのがポリシーの1。

翌日、ナポリの港でカプリ島への船を待っていると、物売りのおじさんが来た。
手押し車にいろんな食物を積んでいる。
適当に指差しながら
Che cosa e questo?(これは何?)
おじさん、少し驚いた様子で
-おまえはイタリア語をしゃべるのか?(と言ったのだと思う)
Un po'.少し(実は、Un poco poco pocoくらい)
そして、何かの実を酢に漬けたようなものをひとつ小生の手のひらに載せた。
やむなく口に入れる。
Buonissimo!うまい(べつに美味くもないけど)。そして買わずに立ち去る。ごめん。
必要があろうとなかろうとしゃべるのがポリシーその2。

カプリ島に着くと”Grotta Azurra"という看板があちこちにある。
そう。青の洞門を見に来たんだった。もっとも洞門には、波が高くて入れなかったが。
そういえば、ウイーンでシェーンブルン宮殿の奥にもglorietteというのがあったなあ。
グロッタとは、ヨーロッパによくある人工の洞窟庭園をも指すらしい。

フィレンツェでは中央駅のすぐそばのホテルに泊まった。部屋からは イタリアルネッサンスの象徴である花の聖母教会(Santa Maria del Fiore)の 大円蓋が目の前に見える。これはまさに”眺めのいい部屋”だ。O mio babbino,caro... 頭の中で キリ・テ・カナワの歌う声が聞こえ始める。
湯船に浸かりながら、そしてベッドに寝そべって眺めを堪能した。
*キューポラに初夏の日浴びて大聖堂

翌日、ウフィッツィ美術館出口横の切手売り場で、絵葉書を出すための 切手を買う。
きれいなお姉さんに
Scusi. Mille e cinque cento lille. Per Favore.すみません。1500リラのをください。
-Quanti?何枚?
Cinque.5枚
-Prego.どうぞ
Grazie.ありがとう
昨夜書いた5枚のはがきに切手を貼って投函する。
別嬪さんには何にもまして積極的にしゃべるのがポリシーその3。

べネツィアにて。
リド島のホテルで風呂に入ろうとしたが湯が出ない。
「イタリア語自由自在」と首っ引きでフロントに電話をかける。
Non c'e acqua calda.お湯が出ません。
-ペラペラ.....(修復作業中だと言っているらしい)
われわれの到着前にアメリカ人の団体がホテル中の湯を使い切ってしまったのが原因らしい。 世界中で悪事を働くアメリカ人に災いあれ。
ダメでもともとの精神でしゃべるのがポリシーその4.
*夕凪の 運河に映ゆる バールの灯。

翌朝、湯はちゃんと出た。朝食後時間があるので、ひとりで散歩に出る。
ホテルと反対側の海岸はアドリア海のはずだ。
かつてべネツィア共和国の海の男達がが活躍したアドリア海を一目みたい。
同じ道を間違いなく引き返せるよう注意しながら行くがなかなか岸に出ない。
やっと海が見えた。ただしフェンスがあって30m先の岸まで行けない。
浜辺にはたくさんの小屋が海を向いて建っている。これは何だ?
道路わきのベンチに座って歌を歌っているおばあさんに、
Buon giorno.おはようございます。
-Buon giorno.
小屋の方向を指差しながらChe cosa e quello?あれは何ですか?
ぶっきらぼうに-”リーバ”(確かこう聞こえた)。
Grazie.
手帳にリーバとメモしてホテルに帰り辞書を引くと”riva 海岸”とある。
なんだ。そんなことを聞いたんじゃない。
相手の迷惑も考えずに話し掛けるのがポリシーその5。

ミラノにて。
バスがとあるブティック?の前で停まり全員店内に導かれた。
例によって日本人店員による買い物の説明が始まる。
ひとり店を抜け出して、さきほどバスの窓から見えたミラノ中央駅に向かう。
途中で道がわからなくなった。年配の女性が通りかかったので声をかける。
Scugi.Vorrei andare a la statione centrale.すみません。中央駅に行きたいのですが。
身振り手振りを交えて応えてくれる。少し先の角を曲がるらしい。
Ma,quanto tempo ci vuolre?でも時間はどれくらいかかりますか?
-なんとかかんとかsubito・・・(曲がったらすぐ見えるらしい)
駅は見つかった。堂々たる構えだ。中に入ってプラットホームあたりの 眺めを網膜に焼き付ける。
スケッチの時間はない。写真を撮る。
帰国したら絵に描いて日曜画家展に出品しよう。
今回の会話は実際に役に立った。

店に帰ったけど鍵がかかって中にはいれない。
少し離れたところにバスが待っていたので運転手に、
Posso entrare?入ってもいいですか?
-Prego.どうぞ。(と言ってドアをあけてくれる。)
Grazie.ありがとう。
なかで1人で待っているとやがて店の中から買い物の収穫物を かかえたおばさんたちが出てくる。
あの人たちは何をしにイタリアまで来たのだろう。

自由時間に妻と大聖堂の屋上に登ったりみやげ物を物色したり 食事をしたりした後、タクシーをさがして、 ホテルの名前を書いたメモを見せながら、
Per l'albelgo per favuole.ホテルまでお願いします。
-Ho capito.わかりました。
Quanto costa?いくらですか?
メーターを指しながらベラベラ・・・
ごもっとも。
タクシー代は思ったより安かった。

イタリアの人たちは、下手なイタリア語でも分かろうとしてくれた。
フランス人ならこうは行かないと聞く(本当かどうか試してみたい)。
もっと勉強して今度は個人旅行でゆっくり回りたい。

                 (完)
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