鉄道の旅(04年9月)

 一昨年のドイツ旅行ではドイツ最南部・スイスにも足を伸ばしたかったのだが、 日程上の制約で果たせなかった。その残された部分を今回は廻りたい。 6日夕刻、チューリヒ空港着。ベルリンから来た娘夫婦が迎えてくれる。 そのまま電車でドイツのコンスタンツに直行。2〜3日かけてボーデン湖 周辺の町を見て廻るのだが、娘によるとドイツに比べスイスはホテル代など物価が かなり高いので、まずコンスタンツで3泊し(Pension"Gretel")、 そこをベースとしてあちこち見物することとする。

コンスタンツはボーデン湖のほとりにある美しい町であり、 ローマ皇帝の名を冠する古都である。また15世紀にここで宗教会議が行われ、その結果 ボヘミアの宗教改革者ヤン・フスが火あぶりの刑に処せられた土地でもある。 港には古代ローマ時代の有閑マダム?像があり機械仕掛けでゆっくり回転している。

7日、スイスのシャフハウゼンに行く。近くにはヨーロッパ最大の滝”ラインの滝”があり 落差は25Mしかないがなかなか壮観である。そこを小船で見物する。 滝の中ほどの岩に船が着き、狭い階段を登って頂上に出ると周辺が見渡せるようになっている。 むかしライン河を航行する船はラインの滝を通過できないので、荷物を積み替えざるをえず、 それでシャフハウゼンの町は栄えたらしい。

コンスタンツに戻る途中でシュタイン・アム・ラインに立ち寄る。 市庁舎広場周辺の建物の壁画はメルヘンの世界だ。



8日、スイスが誇る世界遺産の街ザンクト・ガレンを訪れる。 駅前から少し歩くと旧市街に出る。家々に独特の出窓があってそれぞれ美しい。 また大聖堂に隣接する図書館が素晴らしい。内部は豪華なつくりで、 床はいろいろな木を組み合わせたモザイクであり、 中世の2000冊を超えるという豪華な写本が所蔵され、そのうち何冊かはガラスケースの中に ひろげられたまま展示されている。

コンスタンツに戻った後、ボーデン湖を船で対岸のメーアスブルグ(ドイツ)に行く。 ここもシュタイン同様、おとぎの国だ。 古城博物館を見学。ドイツ語のガイドの説明を娘が通訳してくれる。 ここからほど遠からぬところに古代ケルト人の住居を再現した場所があり そこも見学したかったが時間がなくて断念した。

9日、本日の予定はチューリヒ市内観光。コンスタンツのホテルを チェックアウトして鉄道に乗る。料金が半額になるチケットを予め 買ってあるので、一回毎の乗車券代は半額で済む。 当初、近世ヨーロッパで隆盛をきわめたハプスブルグ家の故地 ハプスブルグ城を訪れる予定であったが、現在はレストランとして利用されている にすぎないとのことなので予定を変更した。

 チューリッヒは湖のほとりの美しい街である。そのうえ天気も最高。 聖母教会にはシャガールの、聖ペーター教会にはジャコメッティのステンドグラスがあり それぞれ美しい。






10日、列車でチューリヒから一路南下、アンダーマットで 氷河特急に乗り換えツェルマットに向かう。 アンダーマットの近くにはヨーロッパを南北に分ける峠(サンゴタール峠)があり その昔ゲーテやモーツアルトが馬車で越えたという。 ここを南下すれば陽光あふれるイタリアはもうすぐだ。 またライン河とローヌ川の源流もここからほど遠からぬところにあるはずだ。 それらをぜひとも訪れたかったが、短い日程では 断念せざるをえなかった。車窓から見える川の水は白濁している。

ツェルマットは日本人観光客が多い。ここでの乗物はもっぱら電気自動車と馬車である。 駅前から賑やかな通りを抜けると教会があり そこを左折し、橋を渡ったところが今夜のホテル(Hotel Couronne)だ。 部屋の窓から外を見ると川の上流にマッターホルンがばっちり見える。 ただ残念なことにこれまでずっと良かった天気が怪しくなってきた。 夕食では本場のチーズフォンジュをたらふく食った。

11日、昨夜からの雨も朝にはだいたいあがった。 傘をさしてホテルを出る。われわれ夫婦はツェルマット駅の近くからアルプスの展望台 ゴルナーグラート行きの アプト式の登山電車に乗る。娘夫婦は眺望がきかないから山には登らないといって別行動。 登山電車といっても本格的な列車である。乗ってるうちに晴れ間が広がり 右側にマッターホルンがよく見える。ここまで来た甲斐があったというものだ。 マッターホルンは四角錘の山でその東壁が左手に北壁が右手に見え、 その境目の稜線ヘルンリ尾根が手前に伸びる。 東壁にへばりついた雲がしばらく待ってもなかなか取れない。 滞在1時間、諦めて下りの電車に乗る。リッフェルアルプの駅に着いた時、 ホームに娘夫婦が待っていたので 途中下車して4人でグリュンゼー方面に約4時間のトレッキングをした。 その後ツェルマットに別れをつげてベルンに向かう。ホテルに着いた時はすでに9時であった。

12日、きょうの予定はベルンの市内見学。 雨の中、傘をさしてホテルを出発。 ベルンはベルリン同様、その名は”熊”に由来する。 旧市街全体が世界遺産であり、西以外の3方をアーレ川に囲まれ 通りにはアーケード街が連なる。もっともこの日は日曜日で あいにく多くの店が閉まっていた。熊公園を見て後、 東端の橋を渡った先の高台にバラ公園がありここから町全体が一望できる。 川沿いに歩き街の中心の時計塔を見学。 一人のガイドがドイツ語と英語で仕掛けを説明する。

13日、昨日予約した空港行きのシャトルバスをホテル前で待つ。 8時半、娘夫婦に見送られてマイクロバスに乗る。 今回の旅行でも前回同様娘夫婦がガイドしてくれたので 鉄道の利用などすべてスムーズにできた。われわれ夫婦だけだったら 難儀したことだろう。反面、当方二人のドイツ語力を試してみたい という隠された目的は果たせなかった。

                                            (完)                 


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